it's a wonderful world。
出会ってしまった。
出会ってしまった、出会ってしまった出会ってしまった。
余りにも美しい一枚に。
マヒトゥ・ザ・ピーポーの不完全なけものというアルバムに。
存在は知っていた。
僕は、nuuammという、青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポーが二人だけで作詞作曲演奏しているユニットが好きで、その関連の音楽として不完全なけものというアルバムがあることは知っていた。
でも聴いていなかった。
昨日、たまたま冒頭の一曲を耳にすることがあって、打ちのめされた。
なんという美しい曲なのか、と。
僕が連想したのは夕暮れの海岸と死。
ありありと、眼前に夕暮れのやわらかくて暗い黄色の斜陽と、同じ色に染まる海岸、青色でいられなくなった海が浮かんだ。
夕暮れは死を思わせる。
終わっていく風景だから。
一曲を聴き終わる前に確信した。
これは絶対に聴かなければならないアルバムだと。
なんなのだ、この美しさは。
蝋燭の火が消える寸前の一瞬の輝き?
違うと思う。
そんなに力強いものではない。
蝋燭の火が消えた後にのぼる一条の煙を見るときの美しさだ、これは。
すうっと立ちのぼり、揺れ、混ざり、消えてゆく、そのようなものを見るときの美しさだ。
もう、聴かないという選択肢はなかったので、半年間、伸ばしっぱなしに放置していた髪を切りに出たときに購入してきました。
昨夜、梅田のタワーレコードの在庫を調べたら幸いにも在庫があったので、取り置きをしてもらって。
こんなことを言うと冗談のように聞こえるかもしれませんが、もし僕が21世紀で最も重要なアルバム100選を選ぶのであれば、この不完全なけものというアルバムは、間違いなく100枚の内に入る。
なんだか世界観が山尾悠子に通じるものを感じるんだよな…。
なにがだろう…、どこがだろう…。
醜くて、美しい、そんな世界か。
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